抄録
放射性廃棄物の地層処分の安全性を評価する際には、地質環境という不均質な開放系空間に構築されるシステムの挙動の幅を長期にわたる時間にわたって予測する必要がある。このためには、様々な時空間スケールで進行する相互作用や変化を扱う多岐にわたる学問領域の情報を総合する必要があり、帰納的推論に基づくシステム論的アプローチを取らざるを得ない。地球化学的プロセスの理解は処分の安全研究に不可欠であるが、その際には、処分システムの安全性に関わる時間軸、空間軸においてそのプロセスの進行を理解するという視点が重要となる。この観点から、地層処分の安全性評価における地球化学的課題とはどのようなものであるのか、地球化学分野に対する期待を述べる。