抄録
最近,我々は,NaScSi2O6:Euが220-430nmで励起され、550nm付近に極大を持つブロードな黄緑色発光を示す新しい蛍光体であることを見出した。このNaScSi2O6:Euに50wt%のNa2CO3をフラックス剤として添加し熱処理すると,NaScSi2O6相に加えて既知物質に帰属されないXRDパターンを示す試料が得られた。このことから、新規組成のNa-Sc-Si-O系蛍光体が形成されていることが示唆された。そこで、本研究ではEu2+賦活Na-Sc-Si-O系新規蛍光体について検討を行った。新規蛍光体の合成は, アモルファス金属錯体法により行った。新規物質の単相合成を目指し,並列合成法により組成比がNa:Sc:Si=(1,2,3,4):(0.5,1,2):(1,2,3)の組合せからなる試料の合成を行った。その結果、Na:Sc:Si=3:1:3の組成比で合成したときに,目的相が主相の試料が得られ、530nmに極大を持つブロードな発光を示した。