抄録
菱刈金山の地下320 mには約70Cの温泉水が湧出する地点があり、そこから下流に向かって長さ7 mの温泉小川が形成されている。その小川には酸化鉄に覆われた膜状の微生物マットが形成されており、地下の熱水から供給される還元剤(硫化水素、アンモニア、水素、メタンなど)を酸素で酸化することでエネルギーを得る微生物群集が繁茂している。また、微生物群衆の組成は上流から下流に向かって変化しており、それに伴ってアンモニアや硝酸などの間隙水成分の増減が見られる。特に、上流の微生物マットでは、菱刈金山で新規に発見されたHot water crenarchaotic group (HWCG I and III)と呼ばれる未知のアーキアが優占している。これらのアーキアは環境遺伝子解析の手法から一酸化炭素を炭素源・エネルギー源とする非常に特異なアーキアであることが予想されているが、その実際は明らかになっていない。そこで本研究では無機、有機地球化学的手法をさらに用いて、HWCGを含め、この小川に生息する微生物の代謝活動を解明する。