抄録
陸域における気候変動の将来予測を目的として、古代湖の湖底堆積物から古気候の解析が試みられている。当研究室ではこれまで、バイカル湖やフブスグル湖をフィールドとしたU・Th同位体研究から、U濃度が氷期・間氷期の気候変動に対応して分布し、年代測定のツールのみならず古環境変動のプロキシーとしても利用できうることを示唆してきた。しかしUが気候変動とどのような対応で堆積するのか、未だ不明な点が多い。フブスグル湖はバイカル湖と比べ標高が1000m以上高いこと、容積が1/60と小さいことから、気候変動により敏感であることが期待されている。本研究では、フブスグル湖東岸の湾(Borsog Bay)から採取された堆積物コア(BB03)を分析し、U(Th)同位体の分布から気候とこれら同位体の堆積挙動の関連性について検討した。