日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 2P18 01-P05
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堆積物/堆積岩の地球・環境化学
亜酸化的海底環境堆積物中における主要化学元素の挙動と色相変化
*山田 悠香子三上 裕南 秀樹長尾 誠也小畑 元谷野 賢二加藤 義久
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キーワード: 堆積物, 色相, 酸化還元環境
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抄録
堆積物を採取した後,敏速に得られる情報の一つに堆積物の色相がある。堆積物の色の水平的な変化は陸源および海洋物質の運搬・堆積量の変化に対応する粘土鉱物,オパール(生物起源ケイ素),炭酸カルシウム,有機物,鉄,マンガンのような化学成分の相対含有量によって引き起こされている。鉛直的な色相の変化の要因の一つとして酸化還元環境変化に対応した鉄やマンガンの化学形態の違いも色相に大きく関わっていることがわかっている。したがって,堆積物の色相を観察することにより,速やかにその堆積物の酸化還元環境や構成物の変化の情報を入手し,堆積物の色相を地球環境変遷のプロキシーとして活用することを検討し,化学成分と色相の関係をできる限り定量的に明らかにすることを試みた。また,色相観察の手段としては色彩色差計を用いて色をデジタル値として定量する方法を使用した(Nagao and Nakashima,1991)。本研究では表層の生物生産が比較的低い黒潮海域の四国沖と,生物生産の高い東部太平洋ペルー沖について研究を行った。黒潮海域である四国沖は堆積物中の炭酸カルシウムの割合が大陸斜面で多くても10%程度で,四国海盆などはほとんど含まれていない。有機態炭素含有量も低く,堆積物表層では赤褐色の堆積物が多くを占め亜酸化的な環境を呈する海底である。一方,東部太平洋ペルー沖は堆積物中の炭酸カルシウムの割合が50%を超える海域であり,生物生産が極めて高く水平的に生物種の変化もある海域で,水深が比較的深いこともあり赤褐色の酸化層が発達している。そこで本研究ではこれらの堆積物試料を用いて化学分析のデータと色相データ(L*a*b*値)を比較して堆積物の色相と堆積物中における主要元素の挙動および堆積環境との関係を検討することを目的とした。
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© 2009 日本地球化学会
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