抄録
IODP Exp.310では、ターミネーションIにおける、より正確な海水準変動と環境変遷の復元を目的としてタヒチ周辺海域においてサンゴ礁の掘削が行われた。本研究では、その掘削コア試料中のハマサンゴ属(Porites spp.)の骨格に含まれる鉛同位体比を用いて最終融氷期の海洋環境復元を試みた。測定の結果、サンゴ試料中の鉛同位体比はアンデス中部の地殻に含まれる鉛同位体比と整合的な値を示しており、南アメリカ西縁部から南東貿易風により風送塵がタヒチ周辺海域まで輸送されていることが示唆された。また、melt water pulse 1A前後において同位体比に有意な変動が見られ、この期間、南東貿易風の変動が大きかった可能性が示唆された。