抄録
地球温暖化予測には森林地表面CO2フラックス(以下フラックス)の正確な測定が重要である。そこで本研究は環境に対する少ない擾乱で簡便に連続測定が可能な土壌中CO2・Rn濃度からフラックスを推定する手法を考案し、観測で手法の有用性を評価した。土壌中拡散方程式の定常解を用い、Rn濃度から実効拡散係数を、CO2濃度から地表面CO2濃度勾配を決定する。フラックスは上記2項の積で算出する。名古屋市内の森林で土壌中CO2・Rn濃度、比較対照のフラックスを31日間連続観測した。土壌中Rn濃度は地温勾配による土壌空気の混合に起因した日内変動を示した。期間中は土壌水分量の変動が小さかったので実効拡散係数を一定と仮定し、Rn濃度の平均値から実効拡散係数を決定した。フラックスの推定値は、比較対照値の日内変動、及び長期的な平均値を良好に再現した。