抄録
GEOROCおよびPETDBデータベースを統合して全地球をカバーする海洋玄武岩同位体データセットについて独立成分を求めた。主要な2つの独立成分IC1とIC2が見出され、IC1ではSrとNd同位体比はPb同位体比(204Pbで規格化)とそれぞれ正と負の相関をもち、一方、IC2はその逆の相関をもつ。これらの起源となる元素分別の性質に基づき、IC1はケイ酸塩メルト生成に伴う元素分別、IC2は水溶液生成に伴う元素分別と推定され、たかだか2つの元素分別プロセスが海嶺と沈み込み帯で重なり合うことによりマントルの同位体不均質がほぼ生み出されていると解釈される。水溶液成分に対応するIC2と地震波速度構造の対応が見られ、CMBから地表付近まで鉛直方向に一塊となった水溶液成分に富むドメインの存在、例えば、沈み込みによって汚染されたマントル物質が閉じた対流セルを作って地球内部に分布することを示唆する。