抄録
中央海嶺での拡大様式や海嶺の構造は、拡大速度とメルト供給のバランスで決まっており、メルト供給量はマントルソースの温度や組成を反映していると考えられる。従って、拡大速度がほぼ等しい中央海嶺での拡大様式・海嶺の構造は、マントルソースの温度・組成条件の違いの結果であると推測される。このことを検証する目的で南西インド洋海嶺の東経34°から40°の海域で岩石採取を行った。採取された玄武岩の微量元素組成に基づくと、近接するセグメントの間や同一セグメント内でも異なる岩石組成が得られた。このことは、マントルソースの組成や温度について非常に小さいスケールでの不均質さを予想させる。このような変化が拡大方向にも拡張されると、オフリッジに異なる組成の岩石が分布し、熱水の通過する流域では中央海嶺とは異なる岩石との反応が生じている可能性も考慮する必要がある。