抄録
東京湾に多く存在する干潟は、生物生産や水質の浄化において大きな役割を果たしているが、物質収支等のメカニズムは非常に複雑であり、要素毎の影響を評価することは容易ではない。よって本研究では、東京湾内の幾つかの干潟について、底質中の元素の定量値に統計的処理を用いることで、元素の挙動の特徴を見出すことを研究の目的とした。
干潟底質はコアサンプラーで採取したものを深さ方向に3cmごとにカットし、加圧ろ過を行った後、フリーズドライした。得られた乾燥試料について、機器中性子放射化分析と即発γ線分析を用いて多元素の定量分析を行った。定量値はクラスター分析等の統計的手法を用いて解析し、深度別、元素別に分類を行い、酸化還元電位等との相関について考察を行った。その結果、クラスター分析を適用することで、干潟底質について特徴的な元素の挙動を分類できることが示唆された。