我々は、J-PARC の物質・生命科学研究施設(MLF)のパルス中性子源に高圧地球科学をメインターゲットとするビームラインを建設している。このビームラインでは 30 GPaを超える人類未到の圧力領域での中性子回折パターンの測定や、マグマの分子レベルの構造や地球深部での水素の存在状態を解明するための高温高圧下での中性子回折実験が進められようとしている。また、中性子はX線や荷電粒子とは全く異なり水素原子と強い相互作用をするため、中性子によるイメージングによって水素原子、すなわち流体のイメージングを行うことが可能となる。
講演では、中性子を利用することによって飛躍的に進展が期待される地球内部物質の研究について、世界の動向を踏まえながら現状と近未来の展望を紹介する