抄録
本研究では、大気中のAr, He同位体比がどのように変化していくのかを数値計算した。Arは大気中に放出されたものがそのまま大気にとどまるが、Heは大気圏外へと逃散することが知られている。大阪モデルでは、Arの現在の大気での存在量、同位体比を制約条件に数値計算を行っているので、大気中のArの同位体比の変化はマントル内同様に一義的に決まる。これよれば、大気形成後の比較的すぐ後に現在の大気中の同位体比の値とほぼ近い値になったことがわかる。一方、Heについては、大気からの逃散があり、これをどのように見積もるかが問題となる。当研究では、一次のrate process を仮定し、逃散する量は大気中に存在する量に単純に比例するとした。この場合、3He, 4Heをそれぞれ現在の大気のヘリウム量に一致させる値を得ようとすると、3Heと4Heの逃散率が10倍ほど異なる必要があることがわかった。