抄録
チリ三重会合点付近は現在の地球上で唯一海嶺沈み込みが起こっている海溝である。また、1960年のチリ地震の震源域南限は、ほぼチリ三重会合点に一致しており、プレートの固着度と破壊域の関係が着目される。このような観点から、我々はチリ三重会合点付近、タイタオ半島沖で、長期観測型海底地震計を用いた海底地震観測を行った。この海底地震観測の目的は、制御構造探査実験により、対象域の地殻構造を求めると共に、長期の海底地震観測から詳細な地震活動を明らかにすることである。さらには、トモグラフィー解析、レシーバ関数解析などにより、より深部の構造を求めることも目的である。この観測は、長期観測型海底地震計を用いることにより、長期にわたって多数の地震を観測し、結果の信頼性を向上させることが特徴である。本講演では、2009年から2010年にかけて行われた海底地震観測の概要と、予察的な結果について発表する。