抄録
マンガンクラストは海洋で沈殿する鉄とマンガンの酸化物の集合体であり、コバルト・銅・ニッケルといった遷移元素のほか多くの有用元素が濃集していることから、鉱物資源として注目されている。またマンガンクラストの成長速度は百万年に数mmとされており、数千万年にわたる古海洋環境を保持している記録者としても注目される。本研究では、超高感度のハイビジョンカメラやロボットアームを備え付けたハイパードルフィン(海洋研究開発機構所有の遠隔探査機)によって、堆積環境や産状を把握しながら採取されたマンガンクラストを用いることで、現海洋における元素の濃集機構解明、及び元素濃度と海洋環境との関係について考察する。