日本地球化学会年会要旨集
2010年度日本地球化学会第57回年会講演要旨集
セッションID: 3A19 10-15
会議情報
大気微量成分の地球化学
錯体化による有機エアロゾルの雲凝結核としての働きの抑制
*古川 丈真高橋 嘉夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
主要有機エアロゾルの一つであるシュウ酸は、水溶性であるため雲凝結核として作用し、雲の形成を助長するとともに雲の寿命を伸ばし、間接的に地球を冷却すると考えられている。しかし、エアロゾル中のシュウ酸が単体のシュウ酸なのかシュウ酸錯体なのかは解明されていなかった。シュウ酸錯体の多くは不溶性であるため、雲凝結核としての働きには期待できない。XAFSを用いた本研究から、大気中のシュウ酸の多くはシュウ酸錯体として存在することが分かった。また、シュウ酸とシュウ酸錯体の水分吸着脱離重量測定の結果より、シュウ酸錯体は雲凝結核として働かないことが分かった。そのため、エアロゾル中のシュウ酸の雲凝結核としての働きはこれまでの見積もりよりも小さいことが予想される。
著者関連情報
© 2010 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top