抄録
中央アフリカ,ガボン共和国のオクロ・バゴンベウラン鉱床では,約20億年前に大規模な核分裂連鎖反応が起こったことが確認されている。これまでに発見された18か所の天然原子炉の中で,バゴンベ天然原子炉は地表から約12mの浅所に位置しており,激しい風化作用を受けている。原子炉上部を覆っている粘土層中の二次ウラン鉱物,ジルコンの局所同位体分析の結果から,これらの鉱物には原子炉部分またはその周辺に存在していたウランならびに核分裂起源軽希土類元素が再分配され固定されていることが明らかとなった。また,粘土層中に見出されるジルコンのウラン含有量(<0.01-22.2 wt.%)は非常に幅広いことが示されている。本研究では,バゴンベ天然原子炉上部に存在するジルコンを用いて,1)レーザー抽出法による一粒のジルコンの希ガス同位体分析法の確立,2)ジルコン内部に存在する核分裂起源Kr, Xeの検出,および希ガス同位体組成の変動に関与する核反応の特定,を目指し測定を行った。