抄録
本研究はバイマーカーの水素同位体比の古環境研究への適用を目的として、琵琶湖堆積物コア中の植物起源脂肪酸の水素同位体比を測定した。復元された過去15万年間の脂肪酸の水素同位体比は~40パーミルもの変動を示し、その変動パターンは中国の鍾乳石の酸素同位体比と類似しており、北緯30度における夏の日射量の変動に同調していることが示された。このことから 脂肪酸の水素同位体比は中国の鍾乳石の酸素同位体比と同様に、地球の歳差運動の周期による夏期の日射量変動に応答したシグナルを反映していると考えられ、陸域の古気候トレーサーとして有用であることが示唆された。