抄録
パルマ藻は、細胞サイズが微小なピコプランクトンに分類される微細藻類であり、亜寒帯域など限られた海域であるが主要な基礎生産者であることが指摘されている。また、このパルマ藻は珪質の殻をもち、新生代の海洋における重要な基礎生産者である珪藻と密接な関係をもつことが推測されてきた。本研究では、このパルマ藻の培養試料を用いてそのバイオマーカーの探索を試みている。その結果、パルマ藻バイオマーカーとして,多不飽和アルケンや、多不飽和脂肪酸、C29ステロイドを同定した。これらは珪藻の培養株の研究においても検出例のある化合物である。本講演では,パルマ藻のバイオマーカー分析における予察的な研究成果をまとめ,現時点で推定されるバイオマーカーと、これら分子化石としての地球化学的特徴と地球科学的指標としての潜在性,さらに今後の研究の展望について紹介する。