抄録
太陽系初期に存在した微惑星や原始惑星起源の岩石は、エコンドライトとして回収されている。その多くは、形成後、熱変成作用や衝撃変成作用などの二次的プロセスのため、角レキ化、溶融、再結晶作用、鉱物組成の均質化などを受けている。本研究では、太陽系最古の玄武岩としてしられるユークライト隕石を、ソリダス近傍で加熱実験を行い、岩石組織の変化、および、鉱物やガラスの元素組成変化について調べた。結果、ユークライトは、ソリダス近傍での短期間の加熱で生じた部分溶融によって、REE等の微量インコンパチブル元素の移動が短期間に起こる可能性を示した。これが、放射年代の攪乱や、ある種のユークライトの微量元素の欠乏の原因であると考えられる。