日本地球化学会年会要旨集
2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
セッションID: 1A24
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セッション2 古気候・古環境解析の地球化学
IODP 317次航海ニュージーランド沖大陸棚堆積物における間隙水のMg同位体組成
*吉村 寿紘谷水 雅治川幡 穂高
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抄録

本研究では,近年測定可能となったMg同位体比(δ26Mg)を用いることで,陸棚堆積物と間隙水の反応における詳細なMg 動態を解明することを目的とした。試料はIODP Exp317の掘削サイトU1351ならびにU1352で得られた間隙水と堆積物を用いた。試料は陽イオン交換樹脂を用いてMgを分離した後,多重検出器型ICP-MSでMg同位体比の測定を行った。Mg同位体比は海水標準試料IRMM BCR403に対する千分率偏差(‰)として表す。U1351の間隙水のδ26Mgは-1.8~-0.1‰,U1352は-2.2~1.0‰を示した。陸棚と陸棚斜面のプロファイルの違いは海水準変動に起因する堆積履歴の違いに由来すると考えられる。U1352の上部200mではδ26Mgが1.20‰増加し,200~350mでは1.25‰減少した。このことはコア上部200mでは有機物の分解に伴うドロマイトの沈殿反応が卓越するが,コア深度の増加に伴ってMgの除去源がドロマイトから粘土鉱物が卓越する反応に移行することを示唆する。

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© 2011 日本地球化学会
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