マントルカンラン岩中の白金族元素は、Fe-Ni-Cu硫化鉱物と白金族鉱物に濃集している。この2種類の鉱物は、カンラン岩中で密接に伴って存在している。Fe-Ni-Cu硫化鉱物は、他の鉱物の粒間を埋める形で存在しているものが多く、Fe-Niに富むコアをCuに富むリムが取り囲む構造を持つものもある。これらの産状は、Fe-Ni-Cu硫化鉱物がメタソマティズム等の二次的プロセスの影響を被っていることを示している。一方、白金族鉱物の多くは、融点の低い硫化物・砒化物・テルル=ビスマス化物が占めており、これらはリソスフェア内で液体として存在していた可能性がある。これらの観察を考慮すると、カンラン岩中の白金族元素含有相の多くは、リソスフェア内での二次的プロセスによって形成されたと考えるのが合理的である。