北極圏における土壌から河川への溶存有機物流出メカニズムの現状およびその変動に関する知見は極めて限られている。本研究では東シベリアに位置し、比較的流域面積の小さなインディギルカ川における溶存有機物動態の現状の把握およびその将来の変動予測を行う事を目的に、まず始めに、インディギルカ川下流域の溶存有機物濃度・組成の分布パターンを評価した。試料採取は2010年7月にインディギルカ川下流域にて行い、溶存有機炭素(DOC)濃度、紫外可視吸収スペクトルおよび3次元励起蛍光スペクトルの測定を行った。その結果、湿地起源の溶存有機物は他起源のものに比べ、腐植様物質の組成は大きく変わらないものの、タンパク質様蛍光物質の存在割合が大きい事が示唆された。