抄録
ミズゴケは主に高緯度地域に過去数千年から一万年にわたる堆積層を形成している。この堆積層から過去の環境情報を抽出できる可能性がある。大気中の二酸化炭素濃度の変動が炭素同位体比の変動として残されている可能性が議論されている(White et al., 1994など)。本研究では、ミズゴケの炭素同位体比変動と大気中の二酸化炭素濃度の相関を与える基礎研究として、分解層から放出されるCO2の再利用率と大気中の二酸化炭素濃度の関係を調査するための実験システムの構築に向け、平衡チャンバー法とフロー法の二つの方法を検討した。
LED白色電球を使い、天板をアクリル板にし、ミストトラップの有りの条件のシステムのとき、二週間程度の生育は可能であることを確認した。しかし、平衡チャンバー法ではリークの不安を完全に払拭することは困難であると結論した。一方で、フロー系においては陽圧部しかないため、リークは重要ではない。二酸化炭素濃度の安定性の確認を中心に検討中である。