抄録
ホウ素同位体比測定法のうち、Cs2BO2++イオンを用いるP-TIMS 法は高精度・高確度なデータが得られる手法であるが、アクチベーターとしてフィラメントに塗布するグラファイト量が測定に与える影響の定量的な検証は行われていない。筆者らは元素分析計を用いてグラファイトを定量し、測定中のホウ素同位体分別が十分小さく測定再現性も良好とするためには、グラファイトアクチベーター量を適量に管理する必要があることを明らかにした。元素分析計を用いたグラファイトの定量は簡便であるため、懸濁液調整時のグラファイト濃度および長期使用に伴う経時変化の把握が容易である。塗布するグラファイト量を最適量に保つことで、ホウ素同位体分析を安定的に高精度・高確度で行うことが可能であると考えられる。