抄録
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関わる安全評価では、地下水の化学的特性とそれに伴って変化する地下水中の元素の挙動の把握は重要な課題である。日本原子力研究開発機構では、課題解決のために必要な技術や手法の開発を行っている。瑞浪超深地層研究所において花崗岩地下水中の主要成分の分析手法の確立や水質形成プロセスの理解を進めてきた結果、主要成分の濃度は主に地下水の混合により決定されることが明らかになってきている。他方、微量元素については不明な点が多い。本研究では微量元素である希土類元素(REE) の花崗岩地下水中での挙動を把握することを目的とした。その結果、透水性等に関連するパラメータ(水みちとなる割れ目の密度や開口幅等)が間接的にREE の挙動に影響している可能性が示された。REEが割れ目近傍の変質鉱物へ吸着していることが考えられる。今後、変質鉱物に対して試験を行うことで、REE の挙動を制約している反応を明らかにしていく。