本研究では、北海道夕地域に広がる新第三系川端層のハイパーピクナイトに含まれる有機物について考察を行った。ハイパーピクナイト中のステラン組成は、保存されている有機物の大部分が陸減に由来することを示した。また、多様な被子植物由来のトリテルペノイドや、裸子植物由来のジテルペノイドが含まれており、これらの変化は有機物の起源や運搬様式の変化を示していると考えられる。さらに、バクテリア分解などによりルパンのA環が減生して生成するdes-Aルパンが多量にふくまれていた。このことはハイパーピクナイトを形成した洪水によって、河川付近の湿地帯から土砂と植物が運ばれたことを示していると考えられる。