アミノ酸窒素同位体組成を環境中微生物代謝の指標として確立すべく、3ドメインを含む5種類の微生物を、特定の窒素源のもとで培養し、そのアミノ酸窒素同位体組成を調べた。すると、微生物がアミノ酸を新規合成する条件では、藻類等と似たアミノ酸窒素同位体組成相対パターンを示し、微生物がアミノ酸を培地から取り込む条件では、動物と近い15N濃縮係数を示した。温度、pH、塩分など生育環境の影響は見られなかった。つまりアミノ酸窒素同位体組成 のパターン・変動ルールが、三つのドメインにまたがる様々な生物間で共通である可能性が示唆された。また、日本近海(秋田沖、房総半島沖など)で海底堆積物を採取し、様々な画分(全加水分解成分、遊離成分など)のアミノ酸の量・組成・窒素同位体組成を分析した。それらの結果を、上記培養実験の結果をもとに解釈し、海底堆積物中の微生物代謝を推察した。