抄録
有害元素であるヒ素(As)やセレン(Se)がカルサイトに取り込まれる際、Asでは亜ヒ酸よりもヒ酸が、Seではセレンサンよりも亜セレン酸が選択的に取り込まれるというように、その共沈反応には価数依存性がみられる。この価数依存性を決める要因について、XAFS法による化学状態分析を組み合わせた室内実験、さらには量子化学計算を用いた理論的アプローチによる考察を行った。その結果、Asの場合、溶存種の電荷の有無によって価数選択性が決まることが分かった。一方でSeは、亜セレン酸とセレン酸、それぞれのオキソ酸とカルシウムイオンとの親和性によってその価数選択性が支配されていると考えられる。