日本地球化学会年会要旨集
2012年度日本地球化学会第59回年会講演要旨集
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口頭発表(第一日)
G13 海洋化学・大気水圏(全般)
  • 鄭 進永, 古谷 浩志, 植松 光夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    窒素は、植物プランクトンの必須元素であり、特に窒素が枯渇する海域では、大気からの沈着(乾性・湿性沈着)が種組成を変えうる重要な役割を果たすが、大気由来の窒素化合物の海洋生態系への影響はまだ不確実な推定によるところが多い。本研究では南北太平洋の北緯48度-南緯55度で得られたエアロゾル、降水サンプルの無機窒素化合物を定量した。南北太平洋において乾性沈着では硝酸塩が主要無機窒素化合物だが、湿性沈着にとってはアンモニウムイオンが主要な無機窒素化合物であった。大気から無機窒素化合物は、南北太平洋における約0.86-1.7%の一次生物生産に寄与すると見積もられた。ダストイベントなどに伴う突発的な窒素化合物の沈着は、短期間に多量の窒素化合物を海洋へ供給し、生態系への影響は大きい。地球温暖化により海の成層化が強化され窒素が枯渇する海域では、大気からの窒素化合物の沈着は、海洋生態系を規制している可能性がある。
  • 岩本 洋子, 植松 光夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    海洋表層の懸濁粒子の分布や物理・化学的特徴を明らかにすることは、海洋における物質循環過程の理解につながる。本研究では、北太平洋とその縁辺海で採取された表面海水中の懸濁粒子の粒径や化学組成を、バルク元素分析と個別粒子分析から定量的に計測し、1970年代以降基本的な知見のほとんどなかった北太平洋およびその縁辺海における懸濁粒子の化学成分のマッピングデータを得た。北太平洋表面水中の懸濁粒子の粒子数、粒子体積、主要化学成分濃度は生物生産に強く影響を受けており、いずれの海域においても、粒子数には有機物粒子、粒子体積には生物起源のケイ素やカルシウムを主成分とする粒子の占める割合が大きかった。一方、大陸河川の影響の大きい縁辺海のべーリング海・チュクチ海では、粒子個数・粒子体積濃度は北太平洋海域の10倍以上と見積もられ、大陸河川からの陸起源物質の供給が縁辺海の豊富な懸濁粒子量を支えていることを示唆していた。
  • 大森 裕子, 谷本 浩志, 猪俣 敏, 亀山 宗彦, 髙尾 信太郎, 鈴木 光次
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    海洋表面におけるDMS濃度の連続観測のために、我々はバブリング式の気液平衡器と陽子移動反応―質量分析計を組み合わせたEI-PTR-MS法を確立した。しかし、EI-PTR-MS法では、植物プランクトンを含む自然海水を連続的に平衡器に導入するため、平衡器内部でDMSの生成が行われ、DMS濃度の測定に影響を与えている懸念がある。そこで、EI-PTR-MS法において、自然海水を使用することによるDMS濃度測定への影響を評価した。平衡器に導入した未ろ過の海水にバブリングを行い、海水DMS濃度の変化をPTR-MSで測定した。その結果、純空気ガスではガス抽出に依存してDMS濃度は減少し続けた。一方、N2ガスを用いたとき、海水中に溶存している酸素が枯渇した際にDMS濃度が増加し始めた。このことから、平衡器内部で酸素枯渇が生じない限りDMS濃度は増加せず、DMS濃度測定に影響しないと考えられる。
  • 重光 雅仁, Nicolas Gruber, 山中 康裕
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
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    海洋における固定態窒素の収支を解析しようとする試みにおいて、溶存窒素とアルゴンの比を用いる方法論が近年提唱されている。これを使用するためには、「非生物的に駆動される大気?海洋間の気体交換過程」に関する知識が必要となる。本研究では、西部北太平洋亜寒帯域において得られた「窒素とアルゴンの時系列データに見られる混合層直下の過飽和」を数値モデルで解析した。その結果、モデルは春から秋における混合層直下の窒素とアルゴンの過飽和、及び窒素のほうがより過飽和であることを再現した。過飽和の原因の1つは海面気圧の変動によって引き起こされた未飽和と熱フラックス及び混合によって引き起こされた過飽和との兼ね合いによるものであった。もう1つの原因は荒天時に発生する気泡の貫入効果であり、溶解度の低い窒素がより過飽和になることを定量的に示した。さらに、気泡の貫入効果が気体交換フラックスに与える影響についても解析した。
  • 山中 寿朗, 金銅 和菜, 石橋 純一郎, 長原 正人, 三好 陽子, 米津 幸太郎, 金光 隼哉, 野口 拓郎, 岡村 慶, 村上 浩康, ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
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    鹿児島湾奥部海底には若尊と呼ばれる海底活火山が存在し、そこでは約200℃の熱水が噴出するチムニーを伴う熱水活動が2007年に確認された。この熱水の地球化学的特徴は、塩化物イオン濃度および水の水素同位体比が海水より低く、水の酸素同位体比が海水より高いことである。これらの特徴から、この熱水の起源は、海水だけでなく天水が混入していること、また、天水-海水混合線より酸素同位体比が大きく正の値にシフトすることから、有意な量のマグマ水が混入していることが示唆された。本発表では、2012年に本熱水系を再訪し、改めて熱水試料などの採取を行い、熱水活動の経時変化及び、噴出孔の違いについて検討を行った結果について紹介する。
  • 鈴木 莉紗, 柏崎 啓人, 井上 幸樹, 和田 茂樹, 緑川 貴, 石井 雅男, 笹野 大輔, 小杉 如央, 濱 健夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
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    我々は微生物群集に対する海洋酸性化の影響を評価するため、大型培養系を用いた評価を実施した。沿岸海水を6基の500L水槽に移し、二酸化炭素分圧を400ppm、800ppm、および1200ppmに調整した空気を通気した。二酸化炭素分圧とpHを安定させた後、栄養塩を添加し、約1ヶ月間培養を行った。一次生産速度を測定するため、採取した海水にトレーサー(13C-NaHCO3)を添加し培養した。
    生産速度およびChl.aあたりの生産速度は1200ppmの条件下で低くなる傾向が見られた。海水中の二酸化炭素分圧の上昇は一般的に光合成活性を増加させると考えられているが(Doney et al., 2009)、本実験ではその様な傾向は認められなかった。本実験では条件により植物プランクトン群集組成の変化も認められており、本結果は海洋酸性化に対する光合成活性の応答が植物プランクトングループにより異なる可能性を反映しているものと思われる。
  • 井上 幸樹, 鈴木 莉紗, 柏崎 啓人, 和田 茂樹, 緑川 貴, 石井 雅男, 笹野 大輔, 小杉 如央, 濱 健夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A07
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
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    近年、大気CO2 濃度の上昇とそれに伴う海洋CO2の増加によって海洋酸性化が生じており、海洋の生態系や物質循環に対する影響が懸念されている。植物プランクトンは海洋生態系を支える主要な生産者であり、植物プランクトン群集への酸性化の影響は海洋全体に大きな影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、自然群集培養実験により、海洋酸性化が植物プランクトン群集へ及ぼす影響を調査した。
    フローサイトメトリーと高速液体クロマトグラフィーを用いた指標色素分析の結果、実験終盤において、酸性化条件下では大きさ2?m以下のピコ植物プランクトンの割合が増加する傾向や、条件による指標色素組成の違いが確認された。これらの結果は、酸性化により植物プランクトン群集組成が変化する可能性を示すとともに、群集のサイズ組成が変化し、海洋の物質循環にも影響が生じる可能性を示唆している。
  • 柏崎 啓人, 鈴木 莉紗, 井上 幸樹, 緑川 貴, 石井 雅男, 笹野 大輔, 小杉 如央, 濱 健夫, 和田 茂樹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G13 海洋化学・大気水圏(全般)
    セッションID: 1A08
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    海洋による大気CO2の吸収により、海洋のpHが低下する海洋酸性化が進行している。この酸性化により海洋生態系に様々な変化が生ずることが予想される。海洋に存在するDOMは、地球表層において最大級の有機炭素リザーバーのひとつである。近年の研究でDOM中の1つであるFDOMはバクテリアが主な生成源であることが明らかになっている。またバクテリア起源のDOMが難分解性DOMとして、比較的長期にわたり残存することも見出された(微生物炭素ポンプ)。これは、バクテリア起源のFDOMが炭素の長期固定物質として機能していることを示す。本研究では、この役割が海洋酸性化によりどのように変化するか調査した。
    実験後半において400、800ppmにおいて高い濃度が維持された。このような難分解なDOCは、バクテリアの代謝産物である可能性が高い。酸性化が進行した処理区においてDOC濃度の残存量が少なかったことから、酸性化により微生物炭素ポンプの効率が減少する可能性が示唆された。
G5 海洋における微量元素・同位体
  • 熊本 雄一郎, 村田 昌彦, 河野 健, 青山 道夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    2011年3月11日の東北沖巨大地震とそれに引き続く大津波は、福島第一原子力発電所から放射性物質の環境への放出をもたらした。2012年1-2月に福島第一原子力発電所から500km以上離れた北西部太平洋において、海水中の溶存放射性セシウム濃度を測定した。表面海水中Cs-134とCs-137濃度は、それぞれ23と24 Bq/m3であった(2011年3月の換算値)。それらは、事故前の濃度より高いが、2011年4月及び同6月に報告されている濃度より低かった。福島第一原子力発電所由来のCs-134は水深200m付近まで検出され、水深400m以深では検出されなかった。一方、2011年6月にはCs-134は水深200m付近では検出されておらず、表面海水中放射性セシウムは海水鉛直混合によって希釈されたことが示唆される。Cs-134とCs-137の鉛直積算量(表面から水深800mまで)は、それぞれ4,700と5,700 Bq/m2と計算された(2011年3月の換算値)が、その経時変化は明瞭ではない。
  • 山田 正俊, 鄭 建
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    北太平洋におけるプルトニウム同位体の主要な起源は、大気圏核実験によるグローバルフォールアウトとビキニ水爆実験によるローカルフォールアウトである。プルトニウム同位体が海洋にもたらされてから数十年が経過しているが、未だ定常状態にはなく、海水中での鉛直分布やインベントリーは時間とともに変化している。240Pu/239Pu同位体比は、原子炉や核兵器のタイプ、核燃料の種類や燃焼時間などによって異なることが知られており、環境試料中の同位体比の測定から、その起源や輸送過程を推定するのに有効である。そこで、起源を推定するために、ベーリング海および北部北太平洋から採取した海水中の239+240Pu濃度および240Pu/239Pu比の鉛直分布を測定した。また、太平洋赤道域における結果と比較し、海洋における挙動を考察した。
  • 赤木 右
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    ケイ酸との錯生成定数について考察し、海水では、従来炭酸塩錯体が最も主要な化学種とされていたが、ケイ酸金属錯体が主要な溶存種であることが分かった。ケイ藻がケイ酸金属錯体のみを摂取すると仮定し、摂取理論を考案した。錯平衡に関する古典的な熱力学的な計算からケイ藻オパールへの希土類元素の分配定数を求める式を導いた。この式は、全海洋の深層水、表面水中の希土類元素の濃度を体系的かつ定量的に再現した。
  • 安田 早希, 原 由利子, 赤木 右, 高橋 孝三
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    ケイ藻は、ある一定の高い生産性を越えると、凝集により溶解をほとんど受けずに沈降する(デジタルアクション)と考えられる(Akagi et al., 2011)。この性質の確認、応用を目的に、ケイ藻殻包有有機炭素量と沈降粒子中有機物の炭素同位体比測定を行った。
    本研究の試料は世界で最も生産性の高い海域で採取されたことから、デジタルアクションの効果が有機炭素にも及んでいると期待した。超音波処理の有無による有機炭素量は、生産量の大小に係わらず有意な差が認められず、既に分解を受けていると結論した。沈降粒子中の有機炭素同位体比は、Opal/Inorganic Carbon比と顕著な相関を示した。円石藻由来のδ13Cが-25‰、ケイ藻由来の有機物のδ13C -19‰のδ値を持つと考えると、この相関が良く再現できた。ケイ藻の炭素同位体比は、さらに日射量と溶存二酸化炭素分圧、あるいは分解を受けやすい分子の同位体的特徴の差を反映している可能性がある。
  • 中口 譲, 坂本 敦史, 宗林 由樹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    GEOTRACES JAPAN KH-10-2次航海において日本海で採取した海水試料中の生体活性微量金属の分析結果、特に、元素間や栄養塩類との相関関係についての報告
  • 藤坂 浩章, 宗林 由樹
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A14
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)などの強配位子場元素は水塊の新しいトレーサーである。従来、我々は8-ヒドロキシキノリン基を有するキレート吸着剤TSK-8HQを用いた分析を行っていた。しかし、TSK-8HQには種々の問題があった。(1)合成及び樹脂の洗浄の操作が煩雑で、習熟を要する。(2)キレート基の結合が切れやすく、繰り返し使用可能な回数が少ない。そのため、新たなキレート吸着剤の開発が望ましい。本研究では、キレート吸着剤NOBIAS CHELATE-PA1(日立ハイテクノロジーズ)に着目した。エチレンジアミン三酢酸基とイミノニ酢酸基を有するNOBIAS CHELATE-PA1は、TSK-8HQよりも耐久性が高く、またZr、Hf、Nb、Taを定量的に捕集することが可能である。そこで、コマ形のNOBIAS CHELATE-PA1Lを用いた閉鎖式濃縮法により、Zr、Hf、Nb、Taの濃縮分離を行った。
  • 中村 祥平
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A15
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    日本海海底には大陸・島弧の両起源物質が共存していると考えられており、また、日本海は世界的にも代表的な縁海であり、外洋と比べて数倍以上も物質が滞留しやすい海域である。そこで本研究ではPb-210およびCs-137の放射能測定によって堆積速度および堆積年代を算出し、Ca等の主要元素、ランタノイド、Th、U等の微量元素を用いて堆積物の起源および堆積環境を解明した
  • 山崎 奈津実, 張 勁, 稲村 修
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
     本研究では、日本海に生息するホタルイカと、その餌とされる動物プランクトン等を対象に、炭素・窒素安定同位体比を用いて日本海におけるホタルイカの食物網や回遊機構の解明を目的とする。試料は、2011年春に富山県富山市四方と魚津市および兵庫県浜坂町で、漁業により捕獲されたホタルイカを用い、外套長を測定した後、炭素・窒素安定同位体比解析を行なった。現在までの測定結果は、外套長は富山産が兵庫産よりも有意に大きく、炭素・窒素安定同位体比は、採集地域に関係なく全体的に近い値に集まっていた。発表では、産地別ホタルイカの同位体比の他に、ホタルイカの餌である動物プランクトンや、セジメントトラップよる沈降粒子の同位体比も測定し、日本海における食物網を広範囲かつ季節的に比較を行って、考察を深める予定である。
  • ワシリェフ ミハイル, 山田 桂大, 吉田 尚弘
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A17
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    軟体動物の炭酸塩殻の炭素同位体比および酸素同位体比は温度・気候変動の指標として用いられる。炭酸塩から抽出された二酸化炭素はガスクロマトグラフィーを用いて精製され、質量分析計を用いて各同位体比が測定された。私たちは気候変動の例として陸棲のカタツムリと海洋のホタテガイの成長ごとの炭素および酸素同位体比組成のプロファイルを調べた。殻の酸素同位体比組成と炭酸塩の二重置換同位体分子種を用いた温度計によって、生息域の陸水の同位体比を反映すると考えられる、各生物の体内の水の同位体比組成を見積もることができる。
  • 安田 友紀, 市川 諒, 淺原 良浩, 中塚 武, 南 秀樹, 長尾 誠也, 西岡 純, 谷水 雅治, 申 基澈, 河野 麻希子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A18
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    アムール川から流入した溶存鉄および粒子態鉄が、オホーツク海の北西大陸棚域で生成される高密度陸棚水に取り込まれ、オホーツク海中層水を経て、西部北太平洋亜寒帯域(WSP)へと輸送されるという『中層水鉄仮説』が提唱されている。この中層水鉄仮説を支持する結果は様々な観測データから得られてきたが、しかしながら、北西大陸棚から中層水へと輸送される鉄が、アムール川由来であることを決定づける証拠は十分に得られていない。
     本研究では、大陸棚表層堆積物に含まれる鉄水酸化物を抽出し、その中に含まれる「鉄」と「ネオジム」の2元素の同位体比を分析することで、鉄の起源を明確にすることを試みた。その結果は、アムール川から流入した鉄が、河口域から北西大陸棚を経て、サハリン東岸の東樺太海流南域まで輸送されていることを強く示唆した。本講演では詳細な結果について紹介する。
  • 宗林 由樹, Vu Huong Thi Dieu
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G5 海洋における微量元素・同位体
    セッションID: 1A19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    インド洋は3番目に大きな海洋であり,地球規模の物質循環に重要な役割を果たしている.しかし,生物に対して必須または毒性の高い生物活性微量金属のデータはきわめて限られている.GEOTRACES JAPANは,2009年11月から2010年1月の白鳳丸KH-09-5航海において,インド洋の南北断面観測を行った.我々は,この航海において,生物活性微量金属9元素(Al, Mn, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Cd, Pb)の分布を観測した.今回は,溶存態の分布について報告する.
G17 分析化学・物理化学
G3 放射性廃棄物と地球化学
  • 大貫 敏彦, 江幡 大蔵, 坂本 文徳, 香西 直文, 山崎 信哉, 椎名 和広, 菅野 崇
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    森林に降下した放射性Csの菌類への移行を明らかにするため、担子菌類を対象としてCsの濃集について検討した。菌糸への取り込みについても、菌種の違いにより差があることを示している。糸状菌の菌糸はリター層の落ち葉を分解し放射性Csを取り込む可能性があり、落ち葉からの流出を防護する可能性を示唆している。
  • 小森 昌史, 小豆川 勝見, 野川 憲夫, 松尾 基之
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    福島第一原子力発電所事故に由来する放射性物質飛散や被曝影響の評価をするために、各地点に沈着した放射性物質が、原子炉1~3号機の中でどの放出源の寄与によるものかを調べることが重要である。原子炉ごとの汚染への寄与が算出できれば、現在定量が不可能である短半減期核種の当時の線量を原子炉ごとの特性から推定することや、放射性核種飛散シミュレーションの検証に役立てることが出来ると考えられる。本研究では、その手段として環境試料中の134Cs/137Cs線量比に着目した。今回の事故によって放出された134Cs/137Cs線量比(以下線量比)はおよそ1であるが、細かく見ると原子炉ごとに核種の放出比が異なることが知られている。したがって環境試料中の線量比の大小が、汚染源ごとの寄与の大きさを表す指標となると考えた。そこで各地点でのCsの線量を測定して線量比を求めたところ、汚染源が異なると考えられる地点でそれぞれ異なる値となっており、有用な指標となりうることが示唆された。
  • 田中 万也, 岩谷 北斗, 坂口 綾, 高橋 嘉夫, 恩田 裕一
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    福島県内にて放射性物質により汚染した葉を採取しオートラジオグラフィー分析を行った。リーチング実験を行い、その前後のオートラジオグラフ像の比較を行った結果、葉に取り込まれた放射性セシウムはかなり安定に存在していることが示唆された。
  • 苅部 甚一, 田中 敦, 栗島 克明, 木方 展治, 柴田 康行
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B12
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    福島県沿岸の放射性ストロンチウムの分布と挙動を明らかにするために、相馬市(原発から北に37km)、南相馬市(同30km)およびいわき市(原発から南に50km)沿岸で調査を行った。二枚貝の放射性ストロンチウム(Sr-90)分析の結果、相馬市沿岸:0.03 ±0.01Bq/kg、南相馬市沿岸:0.04 ±0.01Bq/kg、いわき市沿岸:0.06±0.01Bq/kgであり、同時に分析した放射性セシウムの結果と同様に原発南側で放射能が高くなる傾向が示唆された。
  • 入野 智久, 池原 研, ジェンキンス ロバート, 芦 寿一郎, 渡邉 豊
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B13
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震では三陸沖の広い範囲で海底土砂輸送が発生し,タービダイトが堆積した.最表層堆積物には福島第一原発起源の放射性セシウムが含まれているが,その一部では表層下数cmから,最表層よりも高いセシウムの放射能が検出された.これら亜表層の放射能の極大は,地震時の葉理を持つタービダイト砂の上位に堆積している,泥質タービダイトの中に含まれている.これは,地震後も泥質混濁流が継続し,その移動・沈降に伴って,原発から放出された放射性核種を迅速に沖合に運搬・埋積したものと考えられる.
  • 小嶋 稔, 羽場 麻希子
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B14
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
     原発のメルトダウンの結果、燃料のウランが現在どのような物理・化学的状態にあるのか、不明である。メルトダウン・ウラン燃料がオクロ天然原子炉の状況に近い環境下にある可能性も否定出来ない。我々はこうした結果や東電の公式発表データ等を基に再臨界の評価を試みた。具体的には想定されるメルトダウン・ウラン燃料や環境の物理・化学的状態で黒田の計算の再チェックを試みる。
  • 宇都宮 聡, 岩田 孟, 川元 侑治, 金子 誠, 仲松 有紀, 大貫 敏彦, 難波 謙二
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B15
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、環境中に放出された長崎型原子爆弾由来Puの化学状態、サイズ依存性を調べ、Puの環境中における化学種変化を分析した結果、約60 %のPuが有機物と結合した状態で、約30 %がPu酸化物様の難溶解性核種として存在することが示された。長崎西山地区表層環境下においてPu移行は起こりにくいことが分かり、環境中に存在する有機物がPu化学種に重大な影響を及ぼすことが示唆された。さらに、福島における土壌中Puの定量、分布を調査した福島第一原発から3 kmの地点におけるPuの放射能濃度と同位体放射能比は、238Pu=0.034~0.209 Bq/kg、239+240Pu=0,08~0.11 Bq /kg、238Pu / 239+240Pu=0.319~2.60であった。
  • 岩月 輝希, 水野 崇, 萩原 大樹, 新宮 信也, 大森 一秋, 福田 朱里
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B16
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    岐阜県瑞浪市において,大規模地下施設建設時の周辺地下水の水質変化の観測を行い,多変量解析により水質変化プロセスの考察を行った。その結果,地下坑道からの距離に応じて,浅層地下水と深層地下水の混合状態の違いを明確にすることができた。また,混合の端成分となる地下水の水質に経年変化が認められた。
  • 塩津 弘之, 姜 明玉, 仲松 有紀, 大貫 敏彦, 宇都宮 聡
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B17
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    本研究ではランタノイド(Ln)の生体鉱物化機構に対して、複数核種とpHが与える影響の評価、分配傾向の定量化を目的として室内実験を行った。実験では、Ln総濃度(La-Lu, 0.085 mM)と酵母(2.0 g/L)を各pH(3, 4, 5)、各温度(25、4 oC)で反応させた。室温では、細胞表面でのリン酸塩生成が全pHで確認された。生成した粒子は、pH 3で粒径100 nmのモナザイト、pH 4-5では粒径数10 nmの非晶質であった。代謝を抑制した系では、pH 4,5のみでLnの細胞表面への静電吸着が行われた。分配傾向では全てのpHで軽Lnがリン酸塩へ優先的に分配されることが明らかになり、類似の傾向が無機的なリン酸塩生成においても確認された。したがって、pH 3では細胞表面付近の溶液側でリン酸塩が生成し、pH 4, 5ではLnの静電吸着サイトで鉱物化が進むことが考えられる。さらにLnの静電吸着はモナザイト結晶構造生成を阻害することが示唆された。
  • 桐野 裕介, 中嶋 悟, 横山 正, 笹本 広
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B18
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分において、地下坑道の掘削・施工時における湧水抑制対策にセメント系グラウト材を用いた場合、高アルカリ性溶液が発生し、岩盤が変質することが懸念されている。本研究では、変質による岩石組織の変化を解明するため、花崗岩ブロックの加熱変質試験及び反応拡散シミュレーションを行った。その結果、どちらにおいても花崗岩表面でのCalcium Silicate Hydrate (C-S-H) の生成が推定された。溶解速度と拡散速度を定量的に評価したところ、C-S-Hの生成速度は花崗岩マトリクス中の拡散が律速していると考えられる。
  • 深井 惠, 木川田 喜一, 大井 隆夫
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    中性から塩基性の天然水中での希土類元素(REEs)の存在形態について知見を得るために、標題の海成堆積岩層の間隙水を対象に、REEsの溶出挙動におけるREEsと腐植物質(HS)との相互作用について検討を行った。岩石粉末試料と、堆積岩層の間隙水の化学組成を模した弱塩基性水溶液とを反応温度50 °Cで1週間から56週間反応させた後、吸引濾過により液相と固相残渣とに分けた。得られた抽出液にキレート樹脂を添加し、REEsを無機態と有機態とに分別後、定量した。原岩規格化REEパターンは、無機態は滑らかな右上がりのパターンを、有機態は正のCe異常を有する特徴的なパターンを示した。また、抽出液のUV-visスペクトルから、反応時間の経過に伴い、HSの濃度の増加、ならびにフミン酸/フルボ酸比の変化が示唆された。
  • 吉田 英一, 山本 鋼志
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G3 放射性廃棄物と地球化学
    セッションID: 1B20
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    我が国の高レベル放射性廃棄物の地層処分深度は、地下300m以深が想定されている。この処分深度は、長期的な安全評価の観点(とくに隆起速度)から、今後数万年以上にわたって生物圏への影響が及ばない深さとして示されたものである。しかしながら、地質学的に見れば日本全体が一様に隆起しているわけではなく、隆起による処分場への影響は、サイト毎に評価される必要がある。本報告では、これまでのアナログ的知見から、地下環境が有する酸化水の浸透等に対する酸化還元緩衝作用のメカニズムと、とくに地表からの酸化水の浸透にみる影響範囲(適切な処分深度)について論じる。
G8 マントル物質の化学とダイナミクス
  • 下田 玄, 小木曽 哲
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C01
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    マントル端成分のなかでHIMUとFOZOと呼ばれる成分が海洋地殻のリサイクリングにより生成したと考えられている。しかし、FOZOとHIMUの成因で何が違うのかは良く分かっていない。本研究では、HIMUとFOZOの成因と海洋地殻を構成する主要な物質であるMORB組成の多様性の関連について調べた。
  • 兼岡 一郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C02
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    地球内部の化学的構造モデルを考える上で、希ガス、特にHeは固体元素とは異なった化学的特性を示すので、固体元素同位体比とは異なった制約を与える。特にOIBなどではMORBよりも高い3He/4Heを示し、それを説明するためにこれまでに多くのモデルが提唱されているがいずれもいくつかの問題をかかえている。それらについて再検討し、地球内部の化学的構造を考察していく上での今後の課題について議論する。
  • 清水 健二, 清水 孚道, 常 青, 木村 純一, 佐野 貴司
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C03
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    IODP第324研究航海にて得られたシャツキーライズの玄武岩質ガラスの化学組成(主要、微量、揮発性物質)を分析し、ソースに含まれる揮発性物質含有量を見積もった。その結果、シャツキーライズの玄武岩のソースの水は中央海嶺玄武岩のソースと較べて非常に少ないということが分かった。ソースには恐らく沈み込んだ海洋プレートが含まれており、ほとんどの水は沈み込み過程で排出されてしまうという先行研究の解釈を支持する。
  • テハダ マリア ルイサ, 清水 健二, 佐野 貴司, 鈴木 勝彦, 羽生 毅, 中西 正男
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C04
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    白亜紀前期は,オントンジャワ,マニヒキ,ヒクランギ海台に代表される大規模火成岩岩石区(Large Igneous Province: LIP)の生成によって,海洋地殻の生成が異常に盛んだった時期とされている。近年,上記3海台が深い成因関係にあるという仮説が提案され,オントンジャワ海台北方の北マリアナ海盆,東方のナウル海盆でも,古く厚い海洋地殻が発見され,オントンジャワ海台の火成活動の産物ではないかという提案もされている。本研究では,オントンジャワ海台の西方に位置するライラ海盆から,2006年12月に実施されたかいれいによる航海KR06-16でドレッジによって採取された火山岩の,岩石学的,同位体地球化学的研究によって,ライラ海盆とオントンジャワ海台との成因関係を考察した。その結果,リラ海盆は,大規模な火成活動の後に起きる,いわゆるポスト海台火山活動によるものであるらしいことが明らかになった。
  • 町田 嗣樹, 小木曽 哲, 平野 直人
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C05
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    北西太平洋のアウターライズ手前(プレート屈曲部)に存在するプチスポット火山から得られた玄武岩について、ピストンシリンダー型高温高圧発生装置を用いた複数相飽和実験を行った。その結果、マグマは1280℃、2.1-2.2GPaの条件で枯渇カンラン岩(ハルツバージャイト)と最終平衡にあったことが明らかとなった。これは、リソスフェア下部(約65 km)の深さに相当する。
  • 平野 直人, 町田 嗣樹, 阿部 なつ江, 森下 知晃, 田村 明弘, 荒井 章司
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C06
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    チリ海溝海側斜面で発見した2つのプチスポット様火山でドレッジを行った結果、北西太平洋のプチスポット火山に産する玄武岩に類似した試料が得られた。これら微量元素および同位体化学組成データ、Ar-Ar年代測定、および現在の周囲のテクトニックセッティングを考慮すると、本海域のプチスポット火山の発生は、海山荷重による屈曲とアウターライズ屈曲の両者が深く関わっており、更にそのマグマの化学組成がホットスポットからの距離に比例して変化していることがわかる。
  • ジャロビツキー ティアゴ, 角野 浩史, コンセション ロムロ, 折橋 裕二, 長尾 敬介
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C07
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    パタゴニア亜大陸下リソスフェリック・マントルの生成・発達史を議論するため,今回新たにパタゴニア全域にまたがる11箇所の新生代玄武岩からマントル・ゼノリスを採集し,希ガス同位体組成を求めた.その結果,地域ごとにHe, Ne, Ar同位体組成において顕著な不均質が認められ,それらは過去の沈み込み帯に伴うメタソマティズムとリソスフェア下に定置したマントルプルームヘッド起源に起因し,その一部はアセノスフェアにより均質かされていることが判った.
  • 清水 美早, 淺原 良浩, 壷井 基裕, AZIZI Hossein
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C08
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    イラン北西部から南東部に連なるザクロス山脈は、アラビアプレートおよびネオテチス海プレートがイランプレートに衝突し形成されたと考えられているが、衝突の詳細な時期、火成活動の変遷については多様な解釈がなされている。本研究では、イランプレートの大陸縁地域であるザクロス山脈Sanandaj-Sirjan Zone (SSZ)の火成活動の変遷を明らかにするため、SSZ北部の花崗岩類のRb-Sr、Sm-Nd同位体分析から形成年代、マグマ源の推定を行った。花崗岩のRb-Sr全岩アイソクロン年代は135±8 Ma、Sm-Nd全岩アイソクロン年代は121±34 Maであった。一方、閃緑岩の全岩アイソクロン年代は得られず、同位体初生値の解析からは閃緑岩のマグマ源の不均質性が示唆された。すなわち、花崗岩、閃緑岩のマグマ源はともにDMMとEM2の2つのマントル端成分が一定の割合で寄与しているが、閃緑岩のマグマ源はDMMとEM2の寄与の割合に変動幅があり、同位体初生値の不均質性を生み出していると考えられた。
  • 遠山 知亜紀, 村松 康行, 糀谷 浩, 山本 順司, 角野 浩史, 中井 俊一, 兼岡 一郎
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C09
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    キンバーライトは揮発性元素に富み、そのマグマ源は少なくとも150kmより深いところにあると推定されている。また、ハロゲン元素は揮発性元素で、地殻やマントル、海水、間隙水、堆積物などにおいて異なる元素比を持つ。これらのことから、キンバーライトのハロゲン元素組成とその特徴を調べることにより、キンバーライトマグマが生成する環境(マントル)でのハロゲン元素の分布やその起源に関する知見を得られる可能性がある。
    我々はこれまでに、南アフリカ・中国・グリーンランド・ロシア・カナダ・ブラジルの6地域のキンバーライト中のCl, Br, I濃度の分析を行い、産出地域や噴出年代に関係なくI/Br比から2つのグループに分類できることを報告した。今回は、それぞれのグループに含まれるハロゲン元素の起源に関して更に考察を進める。
  • 鍵 裕之, 小竹 翔子, 大藤 弘明, Zedgenizov Dimitry, Ragozin Alex, Shatsky Vladisla ...
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    天然ダイヤモンドは、地球深部の物質科学に直接的な物証をもたらす重要な研究対象である。特にマントル遷移層・下部マントルに起源の「超深部起源ダイヤモンド」は、地球深部物質を確実に地表へ運ぶ貴重な試料で、多くの研究者の注目を集めている。ブラジルSao Luiz産の超深部起源ダイヤモンドを試料とし、包有物の化学組成、ダイヤモンドの炭素同位体組成などを調べ、地球深部でのダイヤモンドが成長した環境について考察する。
  • 野村 龍一, 廣瀬 敬, 小澤 春香, 大石 泰生, 平尾 直久
    原稿種別: 口頭講演
    専門分野: G8 マントル物質の化学とダイナミクス
    セッションID: 1C11
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/09/01
    会議録・要旨集 フリー
    放射性熱源としてのカリウムが地球核にどのくらい存在するかは、地球初期温度の推定や内核の年齢等、地球熱史の理解に大きな影響を与える。本研究では、レーザー加熱式ダイアモンドアンビルセルを用いた高圧高温実験により、地球コア-マントル境界の温度圧力条件下(up to 135GPa, ~5500K)におけるカリウムの液体金属鉄(pure Fe, Fe-2wt%S)-パイロライト組成ケイ酸塩メルト間分配係数の決定を行い、放射性熱源であるカリウムの地球核への分配と地球熱史への影響の議論を行った。
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