ケイ藻は、ある一定の高い生産性を越えると、凝集により溶解をほとんど受けずに沈降する(デジタルアクション)と考えられる(Akagi et al., 2011)。この性質の確認、応用を目的に、ケイ藻殻包有有機炭素量と沈降粒子中有機物の炭素同位体比測定を行った。
本研究の試料は世界で最も生産性の高い海域で採取されたことから、デジタルアクションの効果が有機炭素にも及んでいると期待した。超音波処理の有無による有機炭素量は、生産量の大小に係わらず有意な差が認められず、既に分解を受けていると結論した。沈降粒子中の有機炭素同位体比は、Opal/Inorganic Carbon比と顕著な相関を示した。円石藻由来のδ
13Cが-25‰、ケイ藻由来の有機物のδ
13C -19‰のδ値を持つと考えると、この相関が良く再現できた。ケイ藻の炭素同位体比は、さらに日射量と溶存二酸化炭素分圧、あるいは分解を受けやすい分子の同位体的特徴の差を反映している可能性がある。
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