抄録
アミノ酸の代謝は生命活動の維持に重要な役割を担っている。近年の研究では、食物連鎖一段階の上昇に伴う約8‰のグルタミン酸の窒素同位体比の上昇が明らかにされ、栄養段階を見積もるなどの生態学的研究に応用されている。
酵素反応に伴う同位体分別の大きさは、同位体分別係数(α)と反応フラックスで規定され、正確な同位体分別係数を求めることができれば、食物連鎖における生態効率を見積もることが可能になる。本研究では、ガスクロマトグラフ/同位体比質量分析計による化合物レベル安定同位体比分析法を用い、グルタミン酸のアミノ基転移反応についてMacko et al. (1986)の実験を検証するとともに、データを増やすことでより正確な生態効率の定量化を目指した。