抄録
極域の大気汚染、成層圏や中間圏のオゾン濃度減少、宇宙での化学進化などにおいては、雪氷が関与する光化学反応が重要な役割を果たしている。レーザー分光法を用いた装置を開発し、雪氷表面上での光化学反応過程を明らかにする研究を行った。極域の氷雪に含まれている硝酸イオンに着目し、その光分解反応によりOH、OやNOが直接に気相中へ放出されるメカニズムを明らかにした。この反応を組み込んでモデル計算を行い、夏期南極点でのオゾン濃度の観測結果を再現できた。他方、宇宙の星間分子雲には氷星間塵が存在している。宇宙空間のような極低温環境下においても非常にホットな分子が見いだされており、このソースのひとつとして氷の光分解ダイナミクスを提案し、その生成メカニズムを明らかにした。