抄録
CAIとコンドリュールは、原始太陽系星雲内で異なる時間に異なる条件で溶融したと考えられているが、これらの物質の溶融を引き起こした物理的プロセスが同一であるか、その物理的プロセスの詳細は明らかになっていない。本研究では、CAI-コンドリュール複合物質の形成年代および溶融条件を明らかにする事を目的として、SIMSによるAl-Mg系同位体分析を行った。複合物質のオリビンと斜長石は、CAI形成後3.4Myに相当するisochronを形成した。一方で溶融残渣と考えられるスピネルは上記isochronとCanonical isochronとの中間に分布し、そのMg同位体組成は複合物質形成イベントによって不完全に(45-98%程度)リセットされたと考えられる。スピネルのみが溶け残る温度条件は岩石学的に1380-1480℃と見積もれる。スピネル中のMg拡散モデルから、溶融時間は50s-7hと見積もられた