抄録
二酸化炭素に富む温泉水から沈殿するトラバーチンは、二酸化炭素を圧入した地下帯水層から漏れだした流体の天然のアナログといえる。従来、天然の炭酸塩堆積物の沈殿速度の記述に用いられてきたPWP rateと呼ばれる反応速度則では、トラバーチンの沈殿速度は再現できない。そこで、トラバーチン堆積場で想定される「二酸化炭素の脱ガスが炭酸カルシウムの沈殿を誘導する」という連鎖的反応から、新たな沈殿速度則を考案した。モデルの妥当性は、14地点のトラバーチンの実際の沈殿速度で支持された。この新たな速度則は、地下で減圧される流体からの炭酸塩沈殿にも適用できるため、セルフシーリングの効果や、地表への二酸化炭素漏出リスクを評価するために有用であるかもしれない。