抄録
本研究では,秋田県北鹿地域に産する黒鉱と空間的に密接に関係している鉄酸化物層や黒鉱直上や周辺部に見られる珪質堆積岩中のレアアースを含む微量元素成分の分析を行い,当時の堆積環境と鉄・マンガン酸化物やシリカの沈殿プロセスについて明らかにする事を目的とした。その結果,黒鉱形成時には熱水活動が活発であり,鉄石英層は酸化還元境界で酸化された鉄酸化物が還元的堆積場に沈降する事で形成したと考えられる。直上の泥岩の堆積場も還元的であり,このような還元環境が黒鉱鉱床の保存に重要な役割を果たしたと考えられる。その後,堆積場の浅化に伴い,酸化的な環境で鉄やシリカが沈殿,堆積したと考えられる。