抄録
クロロフィルは,地球上のほとんどの生物が依拠する太陽エネルギーの入口を支える重要な分子である。海洋表層で生産されたクロロフィルの一部は堆積物中に取り込まれ,テトラピロール環をもつきわめて安定な分子ポルフィリンに変化する。このポルフィリンの窒素安定同位体比は,地質時代の海洋表層の窒素サイクルを復元するうえで重要な情報源となる。しかしながら,堆積物中に含まれる多種多様なポルフィリンの化学構造の決定や単離などに関わる操作が煩雑で,研究の歩みは決して速くない。本講演では,これまでのポルフィリンに関わる研究をレビューし,問題点を含めわかりやすく解説する。