主催: 日本地球化学会年会要旨集
エディアカラ紀-前期カンブリア紀(635Ma-510Ma)は真正後生動物が出現・適応放散し、地球生命史上最も重要な時代の一つである。後生動物の進化ともに生態系も大きく変化し、特に生態系内の栄養経路は大きく変化したと考えられている。本研究では南中国三峡地域で掘削されたエディアカラ紀-前期カンブリア紀の陸棚斜面堆積物を用い、分子化石の組成変化と分子種別炭素同位体比の変化を連続的に調べ、微生物生態系の変化を考察した。硫酸還元菌に由来すると推定される長鎖n-アルカンが多くの層準から発見された。一次生産者に由来すると考えられる短鎖n-アルカンとの量比は、前期カンブリア紀ネマキットダルディニアンでは有機炭素再酸化の速度の変化と似ていることが分かった。また、アトダバニアンの地層からは短鎖n-アルカンのδ13Cに比べて約15‰軽いβカロタンと長鎖n-アルカンが発見され、有光層まで届く無酸素水塊が発達していたことが示唆された。