抄録
本研究ではランタノイド(Ln)の生体鉱物化機構に対して、複数核種とpHが与える影響の評価、分配傾向の定量化を目的として室内実験を行った。実験では、Ln総濃度(La-Lu, 0.085 mM)と酵母(2.0 g/L)を各pH(3, 4, 5)、各温度(25、4 oC)で反応させた。室温では、細胞表面でのリン酸塩生成が全pHで確認された。生成した粒子は、pH 3で粒径100 nmのモナザイト、pH 4-5では粒径数10 nmの非晶質であった。代謝を抑制した系では、pH 4,5のみでLnの細胞表面への静電吸着が行われた。分配傾向では全てのpHで軽Lnがリン酸塩へ優先的に分配されることが明らかになり、類似の傾向が無機的なリン酸塩生成においても確認された。したがって、pH 3では細胞表面付近の溶液側でリン酸塩が生成し、pH 4, 5ではLnの静電吸着サイトで鉱物化が進むことが考えられる。さらにLnの静電吸着はモナザイト結晶構造生成を阻害することが示唆された。