抄録
アーキアの膜脂質中に存在するGDGT には、イソプレノイド鎖の一部に五員環を持つものがある。この五員環は、増殖時の温度が上昇すると数が増加し、この性質を利用して古水温を推定することができる。好熱好酸性古細菌Sulfolobalesには、五員環を持つGDGTの他に、GDGTのグリセロール残基の1つがカルジトール残基になっているGDCTが特異的に存在する。また、極性基にリン酸残基を含む脂質はこの部分が死後速やかに分解すると予想されるため生菌の指標となる。本研究では脂質粗抽出物をリン脂質を含む極性脂質と中性脂質に分画後、それぞれの平均環化率と温度の関係を求めることと、極性が異なるGDGTとGDCTを分離し、それぞれの平均環化率の温度依存性の違いを調べることを目的とした。中性フラクションに含まれるリン酸基をもたないGDGT、極性フラクションに含まれるGDCT由来のイソプレノイドを分析し、それぞれの平均環化率を求めた。