抄録
北西オーストラリア・Bonaparte湾で行われた白鳳丸KH11-1航海で採取されたコアの化学分析により最終氷期最盛期の堆積環境の復元を行った.最終氷期最盛期の海水準に相当する水深で採取されたコアを分析に用いることにより、海水準下降期・海水準最低下期・海水準上昇期のタイミングを捉えることでき、最終氷期最盛期における海水準変動の復元が可能である.本研究では最終氷期最盛期は約3000年間と短い期間であったことが結果として得られた.この結果は大陸氷床が安定 であった期間が短く、固体地球の応答に平衡に達していなかったことを示唆するものである.またBonaparte湾は現在約6 mと大きな潮汐を有している地域である.古潮汐モデルの結果から、最終氷期最盛期における潮汐変動と化学分析の変化に関係性があることが示唆され、海水準変動による潮汐変動が堆積環境に大きな影響を与えていることが示唆された.