抄録
熱帯から亜熱帯域の気候変動の卓越したモードにエルニーニョやラニーニャ, そして大気の変動である南方振動があるが, それらを含めたエルニーニョ・南方振動の挙動を理解することは, 気候システムの全体の理解に繋がる重要なテーマである.これらの気候システムの理解のためには長期間の測器記録の高分解能記録が有用であるが, 1950年を遡るとそれらのデータは少ない. そこで古気候分野では, 間接指標(プロキシ)をもちいた過去の気候復元研究が行われている.本講演では, 筆者らのグループを含めた古気候古海洋研究者において行われてきた近年の古気候研究におけるENSO復元の例を用いながら, ENSO研究の現状について紹介する.