抄録
北海道は大陸からの大気の影響が強く,北太平洋やオホーツク海へのエアロゾルの通過点としても重要な場所である.また,大気エアロゾルのモニタリングを行うことで,大陸からの黄砂および人為起源物質についても議論することができる.本研究では,2008 年~2012年の5 年間における大気エアロゾル中の微量金属元素の経年変動および季節変動について考察を行う.大気エアロゾル試料採取は,東海大学札幌キャンパス屋上に設置したハイボリュームエアサンプラーを用いて捕集し,ICP 発光分光分析装置および原子吸光光度計により13 元素を定量した.2010 年に発生した黄砂時と非黄砂時の粒径別の化学組成比を比較すると,微小粒子側でCa が約45%増加していた。エアロゾル中に存在するCa 成分の発生源は,一般に自然起源としては粗大粒子に多く分布し,人為起源では微小粒子側に多く分布する.このことから黄砂時における微小粒子のCa の増加は人為起源によるものと考えらえる.