主催: 日本地球化学会年会要旨集
近い将来の小惑星探査(はやぶさ2、オシリス、マルコポーロ)の調査対象天体はいずれも炭素質コンドライト隕石の母天体であるC型(又はD型)小惑星である。また、これらの探査はすべて最終的に小惑星の岩石を採取して地球に持ち帰ることが計画されている。そのため小惑星上でのリモートセンシングによる物質同定が、小惑星表面の物質分布や回収する試料のサンプリングなどに大変重要になってくる。我々の研究グループは、鉱物岩石学的によく観察した含水(および脱水)炭素質隕石の反射スペクトルを系統的に取得し、隕石の鉱物学的特性と反射スペクトルの特性を比較することで、小惑星上での分光による物質同定の適応範囲を慎重に調べている。特に2.7ミクロン帯の吸収は小惑星表層の含水率を見積もることが可能なため、地球の水の吸着の影響を排除して隕石の分光分析を進めている。また、同時に含水炭素質隕石(マーチソン)にレーザー照射を行い、含水C型小惑星上での宇宙風化作用が反射スペクトルおよび物質科学的にどのような影響があるのかを調べている。