抄録
福島第一原発事故により、核分裂生成の放射性核種が大量に放出された。しかし、131Iの半減期が約8日と短い為に、被ばく線量評価を実施する為の詳細データの入手が既に困難となっている。そこで、半減期約1570万年の129Iを131Iの輸送及び降下・沈着量の推定に利用することが考えられる。本研究では、表層土壌中の129Iを加速器質量分析法(AMS)で測定した。福島第一原発事故後における表層土壌中の単位重量当たりの129I/131I原子数比は、25.6 ± 5.8 (2011年3月11日換算)となった。陸域環境での129I分布状況と129I/131I比のORIGEN2コードによる計算結果との比較、及び131I降下量の復元を試みた結果について報告する。