抄録
平成25年度から新たに発足した新学術領域研究「宇宙における分子進化:星間雲から原始惑星系へ」の概要を紹介する. 宇宙で最も大量に存在する元素(H, O, C, N)からなる固体物質(氷および有機物)の形成・進化に着目し,実験,観測,理論,分析等の多様な手法で,分子進化の全体像を描き,これらを通して,化学的視点に立脚した惑星形成論を新たに構築することを目的とする.そのために,以下の研究をおこなう.1) 星間分子雲での星間塵表面における原子反応および光化学反応.2) 原始惑星系における表面触媒反応による有機物生成. 3) 電波望遠鏡を用いた有機分子の進化とその多様性の観測. 4) 上記1) ~ 3)で得られる実験・観測データを用い,分子雲から原始惑星系に至るまでの氷・有機物の起源・進化(分子進化)のシナリオの構築.