抄録
福島第一原子力発電所港湾のセシウム137の収支から、2011年6月以後の海洋への移行量を推定した。解析には、港湾中央部にある「物揚場」前で東京電力が測定して公表している海水中の放射能データを用いた。2011年4月6日から19日までの指数関数的な放射能減少から、港湾中央部(5~6号機取水口開渠を含む)の海水交換速度は0.44日-1と計算された。港湾中央部の海水量は1.88×106 m3、セシウム137の移入と外海への流出が定常状態にあると仮定すると、2011年6月1日から8月31日までについて移入・流出は1日平均93.2GBqであり、92日間の合計は8.58TBqと推定された。また、2012年4月1日から9月30日については、1日平均8.1GBqで、183日間の合計は1.48TBqと推定された。