抄録
白鳳丸GEOTRACES航海(KH-12-4)によって,北太平洋北部域の東西横断測線において,各層海水試料を採取する機会を得た.その海水試料を用いて海水中の溶存バリウムを測定し,北太平洋北部域における生物生産,熱塩循環,あるいは熱水活動が海洋中のバリウムの分布に及ぼす影響を調べることを目的とする. 溶存バリウムの鉛直分布は,観測点BD4~BD16間では,表層から深層に向かって増加する傾向が認められ,4000-5500 db層において極大値を示した.一方,Juan de Fuca域の測点BD17~BD22においては,溶存バリウムは底層に向かって単調な増加の傾向を示していた.Juan de Fuca域における溶存バリウム濃度は,それ以西のBD4~BD16海域と比較すると,特に底層水中における濃度の上昇が顕著に表れていた.Juan de Fuca域の底層水は11%の濃度の増加が認められた.