抄録
本研究では、生物活動が盛んな南大洋を中心とした広い海域で海洋表層水中のイソプレン濃度を高分解能で測定することにより、本海域における分布の特徴やその制限因子について考察した。観測されたイソプレンの濃度とフラックスは過去の報告値に比べて全体的に高い値を示した。この原因として本研究で用いた高分解能測定法によって局所的なピークを観測したことや観測時期がイソプレン放出量の多いハプト藻ブルーム期であったことが挙げられる。高緯度域(> 58˚S)のみの海水中のイソプレンとpCO2との比較で良い負の相関がみられた。このことから、水塊の混合や大気-海洋気体交換の影響が少ない海域でpCO2の変動を主に制御している生物活動の量によってイソプレンの分布が支配されていることが予想される。