抄録
二酸化炭素は光合成により植物体に固定され、落葉・落枝を経て土壌中に土壌有機物 (SOM)として貯留される。SOM は陸域生態系で最大の炭素リザーバーであり、その分解による二酸化炭素放出の変動は大気中二酸化炭素濃度に大きく影響する。SOMの分解速度は、土壌の含水量や温度などの環境因子より変動するが、極端な乾燥とその後の再湿潤で二酸化炭素放出率が大きくなることが報告されている。しかしその定量、メカニズムの解明は不十分である。本研究では、土壌の乾燥再湿潤による二酸化炭素放出量増加の定量化、そのメカニズムの解明を目的とし、採取土壌の培養により土壌の乾燥再湿潤による二酸化炭素放出量、炭素同位体比(δ13C値)を測定することで、SOMの分解速度及び分解される基質の特徴を調べた。