抄録
造礁サンゴの酸素同位体比やストロンチウム/カルシウム比による「サンゴ水温計」の潜在的不確実性が注目されている。この不確実性は、生物鉱化作用に内在するもので、いわゆる生物学的効果、成長速度に関わる動力学的効果などが関係している。私たちは、サンゴ骨格の間接指標が環境・気候状態を記録する能力を評価・検証するために、主にハマサンゴを対象に、長期および短期の飼育実験を実施してきた。実験に際しては、種を厳密に同定し、必要に応じて性別判定も行なって、環境比較実験にはクローン群体を用い、パルス変動光学計測法による光合成効率測定を併用するなど生物学的手法を大幅に取り入れた。飼育期間に形成された骨格の化学組成を各種環境・代謝パラメータと比較することにより、間接指標の特性評価を試みた。