抄録
原生代前期は、大気酸素濃度が大きく増加し、地球表層環境の物質循環が大きく変化した可能性が考えられている.本研究では、原生代前期のガーナ・エンスタマンガン鉱床の鉱石・頁岩試料を対象にRe-Os同位体・微量元素分析を行った.その結果、エンスタマンガン鉱床は、熱水が卓越する環境で、周囲の堆積岩と同時期にマンガン酸化物として堆積し、続成過程においてマンガン炭酸塩に変化した可能性が高いことが分かった.本研究により得られたマンガン鉱床の地球化学データより、原生代前期の海洋は、現世海洋と類似したマンガン酸化物の形成が起きていたものの、大部分が依然として還元的であった可能性が示唆される。